マーケティングの関連書籍は沢山ありますよね。
マーケティングというカテゴリ自体が幅広すぎて、どれを読んだらいいか分からないという方も多いと思います。
特に個人事業や小さな中小企業の経営者の方には、流行りの集客ノウハウ的な小手先のマーケティングではなくて、マーケティングの本質・全体像を学んでほしいと思って、こんなブログをやってます。
そんなわけで、今回は経営理念・戦略・戦術といった戦略的マーケティングを学ぶ上でオススメの書籍として『ドラッカーの5つの質問』という本をご紹介します!
ドラッカーの5つの質問とは
経営の神様と呼ばれるピーター・ドラッカーというおっちゃんが書いた本です。実はこれ、マーケティングそのものの本ではありません。
もう少し広い経営全体の話に関する内容ですが、マーケティングを学ぶ上では非常に重要なエッセンスが沢山入っており、分かりやすい1冊なのです。
ドラッカー自体は別に覚えなくて良いですが、この「5つの質問」はあらゆる事業活動の根幹なので、必ず押さえておきましょう!
これ👇

- 我々のミッションは何か?
- 我々の顧客は誰か?
- 顧客にとっての価値は何か?
- 我々の成果は何か?
- 我々の計画は何か?
というもの。
世の中には成功している会社とそうでない会社がありますよね。
成功している企業は「我々の事業とは何か」という問いを常に考えているとドラッカーは言います。
『この問いを怠るとき、直ちに、事業の急速な衰退がやって来る』
とドラッカーは言っています。
ほんとこれそうで、ドンドン変わっていく事業環境の中で、事業の在り方を整えるために、経営者が常に考え続けるべき問がこれになります。
それぞれ説明していきましょう!
1.我々のミッションは何か?

1つ目の問は「ミッション」です。
ここでいう「ミッション」というのは、いわば企業の「想い」の部分です。経営理念・ミッション・ビジョンとかそういうやつね。
ミッションとは世の中で自分たちの会社が、なぜその事業をやるのか? 社会に対しどのように役に立って、何を実現したいか?ということです。
売上や利益がどうのこうのじゃありません。
社会に対しどのように役に立って、何を実現したいか行動する理由じゃなければ、ミッションとは呼べないというのです。
ミッションは自分自身ではなく、社会に向けられた「想い」なんです。

なるほど。じゃあ、ワシゃ、儲かれば何でもやるぜ!!って話じゃダメってことね。なんで、その事業をやるのか?ということか。

そうそう!
何のために、どういう「想い」で事業をしていくのか?ということが商売のスタート地点であって、それが曖昧だと迷子になるわけです。
2.我々の顧客は誰か?
2つ目の問は「顧客は誰か」です。
マーケティング思考的にいうなら、「ターゲットは誰か?」「どんな顧客に向けて商売を設計するか?」ということですね。
本の著者、ドラッカーは、こういいます。
「企業と使命と目的を定義する時、出発点はひとつしかない『顧客である』」
どんなに「想い」があっても、顧客に認められて、価値を提供して初めてビジネスが成り立ちます。全てのお客様の、全てのニーズには応えられないので、「どんな顧客に向けて商売を設計するか?」という問いが非常に重要なのです。

お客様を選ぶということ?
なんかそれはダメっていうか、申し訳ないような気がしてしまうんよね💧

もしも、BUTAくんからしか買えない状況(独占状況とか・公的機関とか)であれば、選ぶのは良くないけど、商売でやっているなら喜んでくれるお客様に向けて商売を設計するのは悪いことじゃないよ。
3.顧客にとっての価値は何か?

3つ目の問は「顧客にとっての価値は何か」です。
マーケティング思考的にいうなら、「お客様にとってのメリット」「ベネフィット」と呼ばれる概念ですね。
本の著者、ドラッカーは、こういいます。
顧客は製品を買ってはいない。
欲求の充足を買っている。彼らにとっての価値を買っている。
例えば、コーヒーを飲むだけなら120円でコンビニでも買えます。
でも、スターバックスや高級ホテルの1000円のコーヒーを求める客は、コーヒーそのものを買っているのではなく、コーヒーを頼むことで付随する快適な空間を買っているということになります。
商品ではなく、価値を見ようぜ!!
というマーケティング思考でも、もっとも根源的で大切なお話ですね。

それな~!
ついつい、「どういう商品なら売れるかな?」って、商品のコトばかり考えがちになるわ

難しいよね~
でも、売るということは、顧客にとっては買うってことだから、この商品を買うことでお客様にとってどう良いのか?どんな価値があるか?という目線で考える必要があるってことだね
4.我々の成果は何か?
4つ目の問は「我々の成果は何か?」です。
マーケティング思考的にいうなら、なんだろう…?ちょっと出てこないけど、ライザップ的に言うなら「結果にコミットする」の「結果」の部分です(笑)
ドラッカーはこういいます。
『組織の成果は常に外部に存在する。
企業の成果は顧客の満足であり、病院のそれは患者の治癒であり、学校のそれは生徒が何かを学び10年後それを使うことにある。
ミッションの時に、利益をミッションにしないという意味はここにもあります。
商品・サービスを手にしたお客様が求める成果が得られること!売上・利益というのは、その結果でしかないので、考えるべきはお客様の成果なのです。

え、カッコよ…!!
「我々の」とか言われると、つい、ボクたちの売上・利益を成果と捉えたくなっちゃいがちだけど、ダメなのね。

売上・利益が目的になってしまうと、目先の利益に捉われたり、理念を忘れたり良いことないからね。
5.我々の計画は何か?
5つ目の問は「我々の計画は何か?」です。
覚えなくてもいいけど、マーケティング・マネジメントという領域です。
ドラッカーはこういいます。
計画とは「使命に向かい主体的に向かう旗印である」
こんな「想い」があるから、こんな「お客様」に対して、こんな「価値」を提供して、お客様はこんな「成果」を手にする。そして、それを実現していくために、どんなプロセスで実現していくか?・・・みたいな感じです。

うん、まぁね。
1つ1つは分かるけど、全部考えると頭ぐわ~~~なりそうやね!
・・・で、どうしてくれるのん?

まぁ、そうなるよね。
じゃ、ここからは全体の流れ・関連性と実際に本で紹介されていた回答例を紹介していこう。
ドラッカーの5つの質問の回答例

5つの質問の構造をみていくと、最初の3つは相互関係なので連動してグルグル考えていくものです。
その3つをグルグル考えたのちに、固まっていけば、実は4つ目、5つ目はほぼ直線(事業の方向性)になっていきます。
初台リハビリテーション病院
では最後に
実際に本で紹介された「初台リハビリテーション病院」の事例をご紹介していきます。
脳外科手術に成功したものの、患者さんが「寝たきり」になってしまったことを嘆いた医師がいた。当時はまだ、手術した後のケアは考えられていなかった時代だった。「手術をした後、回復を専門とする病院があれば寝たきりはなくなる」と考え方医師は、「寝たきりをなくす」という理念・ミッションを掲げ2002年に病院を開業。2016年には患者の在宅復帰率は87%と大きな成果を上げている
この病院の4つの質問(5は省略)は以下の通り。

患者の治療にあたるチーム全員が同じ方向に向けて、主体的に動けているからこそ、この高い回復率を維持向上していくことができるということです。
シンプルで一貫性があり、力強く「我々の事業とは何か」という問いを考え続けている証拠でもありますね。
この記事のまとめ
実際の本を手に取っていただくと、5つの質問、それぞれに対して、その問いに答える為の更に小さな問いが用意されており、考えやすく分かりやすい1冊になっています。
また、解説に伴い多くの事例も載っており、「あ~、この会社そうだったんだ」というように気付きに多い一冊なので、まだ読んだことのない経営者・起業家の方は、読まれてみてください。
おすすめですよ!