TTP→ 徹底的にパクる!
マーケティング活動をしていく上で、成功モデル・事例を学び模倣・モデリングすることは非常に有効と考えられています。
僕もそれには賛成ですし、どんどんやるべきと思っていますが、安易に模倣してしまうことの危険性もあり、その辺りについて語られることは少ないです。
今回は、安易な模倣をしてしまうことによって、努力が無駄になるばかりか、場合によっては「評価されていた良いポイント」すら打ち消し合ってしまう!というケースを図解と事例で見ていきたいと思います。
- TTPの考え方が知りたい方
- 個人事業主や中小企業の経営者
- 上手な模倣(パクり方)を知りたい方
にピッタリの記事です。是非、参考にされてください!
目に見えるもの、見えないもの
模倣(パクる)考え方の前に、超絶重要なポイントです。
ビジネスに限らず、物事を構造的に見ると「想い」→「考え方」→「やり方」と3層に分けることが出来ます。
商売、マーケティングに置き換えると以下の通りです。
👇

超ざっくり言うと・・・
- 理念(想い)=ミッション・ビジョンとか
- 戦略(考え方)=狙っているターゲット・ニーズとか
- 戦術(やり方)=商品・価格・顧客接点・情報発信とか
みたいな感じです。
上図のように理念(想い)や戦略(考え方)というのは、基本的に「具現化された何か」ではないので、外からは見えません。予想しかできないので、パクりようがないのです。
例えば、あなたの身近な会社が、「どんな想いで、どんな人相手に商売をしているか?」というのは、見えないのですよね?見えるとすれば、情報発信の媒体を使ってPRするために「具現化」された情報くらいのものです。

なるほど。
言われて見れば、確かに理念やら戦略は予想しかできへんな。でも、商品や価格とか参考にしたい部分が見えてるならエエやん?

・・・と思うでしょ?
でも、どんな人にどんな価値を届けるかという理念や戦略の部分によって、商品や価格が変わるから、安易にマネするとイタイ目見ることになるんだよ。その辺を紹介していくね。
店舗型のカフェで比較
では、ここからは僕のYouTubeチャンネルではお馴染みの図のような「店舗型のカフェ」を例に考えてみましょう。
例えば・・・
同じような立地にある、同じような規模の、同じようなカフェでも事業の方向性はたくさんあります。

- 外回りのビジネスマンや大学生が、打ち合わせや勉強・読書に利用するカフェ
- 小さな子連れのお母さんが、子育ての息抜きでママ友とランチ会に利用するカフェ
- コーヒーマニアな人が集って、マスターと珈琲の原産地について語ってるようなカフェ
みたいな感じ。
それぞれ、どんな人相手に商売をしているか?という「戦略」が違うので、お客様に喜ばれる為に行うべき活動が変わっていきます。
その辺を整理してみましょう。面白いほど分かりやすいです(笑)
日本一やさしい戦略フレームワーク
こちらもYouTubeチャンネルでは、お馴染みですが「お客様目線で売れる強み・売れる戦略を整理する」ことが出来るフレームワークです。
知りえる限り、これ以上シンプルに戦略を整理できるものがないので、この「戦略5原則」を使って解説していきます。

詳しく知りたい方は、戦略5原則は知識0でも「売れる強み」が作れるお手軽マーケティング戦略フレームという記事が分かりやすいので、そちらをどうぞ。
基本的には①~⑤を表にして順番に埋めていくだけです。
じゃあ、やってみましょう。
A店の場合

①顧客は誰?
利用してくれているお客様(ターゲット)なので、A店の場合「外回りのビジネスマン」や「大学生」でOK
▼
②価値は何?
①の顧客が買っている価値・ニーズや目的なので、A店の場合「 仕事の打ち合わせ」や「勉強・読書」ですね
▼
★何屋さん?
売り手から見てではなく、①の顧客から見て何屋さん?かなので、「外出先のオフィスの提供屋さん」と考えても良いですね
▼
➂競合は誰?
①の顧客が、②の目的を達する際に、頭に浮かぶ別の選択肢が競合です。A店の場合なら、「貸し会議室」「コワーキングスペース」など
▼
④強みは何?
①の顧客が、②の目的を達する際に、➂と比べてどういいか?という競合と比べて価値が高く選ぶポイントになる点が強みです。A店の場合は、「 Wi-Fi・電源が使える」「作業しやすい広いテーブル」「静かな空間」などが当たります。
みたいな感じですね。
⑤は省略してますが、ターゲットとして狙う①のお客様目線で一気通貫して考えやすい特長があります。
ちなみに・・・
競合を考えるとき、売り手目線では、つい同じような業種の「スタバ」とか「別の喫茶店」と考えがちですが誤りです。
マーケティングで考えるべき競合は、お客様目線の競合・・・つまり、お客様が目的達成のための手段として、どこと比べているか?が本当に比べるべき競合です。お客様が比べてもいない選択肢と、一生懸命「差別化」を謡っても意味ありません。
B店の場合

比較するためにB店もさらっと見ておきましょう。
①顧客は誰?
BB店の場合「小さな子連れのお母さん」とします
▼
②価値は何?
そのお母さんのニーズ・目的は「子育ての息抜き」や「ママ友とのランチ会」だとします
▼
★何屋さん?
そのお母さんから見たらB店は「子育ての息抜きタイム提供屋さん」と定義できます
ちなみに、この定義はお客様目線のもので、分かれば何でもいいです。
▼
➂競合は誰?
同じようなカフェのA店は「貸し会議室」「コワーキングスペース」が競合でしたが、お母さんは1ミリもそん選択肢はありませんね。
同じように使える「ファミレス」「イオンのフードコート」などが選択肢に入るでしょう。子供が泣いても気まずくないからです。
▼
④強みは何?
そういった別の選択肢がある中で、より快適に、安全に、息抜きが出来れば良いので、B店がやるべきこととしては、「 お子様メニュー・カフェインレス珈琲の提供」「授乳スペース・おむつ換えスペース「安全なキッズコーナー」「にぎやかでもOKな空間」となります。
TTPで逆効果になるケース
さて、ここからが本記事の一番の要点。
例えば、B店がめっちゃ繁盛しているのを見たA店が TTP(徹底的にパクる)を実行してしまったら?
もう、お分かりだと思いますが、簡単に5原則で整理しておくと…
こんな感じ👇

ビジネスマンや大学生は、静かな空間を気に入ってきているのに、子供が騒いだりして使い辛くなりますし、小さな子連れのママ達も子供が騒いだりできないので、使いづらくなり、双方ともに『行かない理由』になってしまいますよね。
せっかく評価されいたポイントをつぶしてしまい、来てくれていたお客様からの評価もダダ下がりで、時間・資金・人手・手間を費やした努力や投資が無駄になるどこか、打ち消し合ってしまうことになってしまいます。
この記事のまとめ
以上のように、
- ターゲットが変われば、ニーズが変わる
- ニーズが変われば、競合が変わる
- 競合が変われば、強みが変わる
- 強みが変われば、ターゲットが変わる
・・・と、戦略というのは本来すべて繋がって一貫しているものなので、目に見える戦術(5原則でいうと④のみ)を単純に真似しても意味がないばかりか危険です。
これくらい「あからさま」なのはモチロン解説用の事例だからですが、このように戦略の一貫性が損なわれ、お客様が離れてしまっているケースはめちゃくちゃ多いです。あなたの場合は大丈夫ですか?
是非、一度あなたの事業を5原則で整理してみてください。